逆鱗

僕と語るなら 過剰な振る舞いと
歪な宴に添う 酒と四季折々の花束と
噂話を用意してくれ

僕を語るなら 異常な詮索と
緻密な嘘を並べて 意図的に散りばめた記憶に
色を足すのは止めてくれないか

顔を伏せて生きる
僕は何処に消えた
息を潜め 夢を描けば
言葉は締め出される

耳を塞ぐなら 聞こえてくるだろう
月夜の逆鱗に触れた
誰にも話せない日々を歌う僕の掠れ声が

顔を変えて生きる
僕を捨てて探す
胸を抉る別れを終えて
またひとつ 忘れて行く

僕と語るなら 多情な温もりで
この世界を埋めてくれないか
片目を伏せれば見える様に
曖昧な程 尾も振れるだろう

僕を想うなら 気丈な振る舞いと
静かな宴に添う 酒と四季折々の花束で
君の話を飾り付けて ただ眠らせてくれないか
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