昨日の少年

背よりも高い向日葵に
囲まれながら 夏は過ぎて

小さな陽に焼けた足で
あき缶蹴飛ばし 願いかける

影が伸び 空が赤く染まる
泣き虫の弟は ぼくの背中で眠る

父からもらった 陽に焼けた大きなグローブに
少しずつぼくの 左手が追いついて行くのがわかる

昨日の少年は 今ここで
君を幸せにするために 唄う

道路を挟む銀杏の樹に
身体をあずけて 冬を止めて

手先に染み込む北風に
追いかけられて 夢を語る

風が吹き 頬が赤く染まる
大切な友達は ぼくと共に歩く

母を心配させた 右膝につくったすり傷は
少しずつぼくの 身体から消えてみえなくなる

昨日の少年はいつまでも
君を幸せにするために 唄う
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