燧灘

夜の波止場に 砕ける波は
海の吐息か 燧灘(ひうちなだ)
出船送って 一年二年
胸に時化(しけ)抱く 私です
港しぐれは 片瀬雨

旅のおんなに 笑顔が戻り
浜のなまりに 馴れるころ
あなた返した 仇波(あだなみ)いくつ
嘘も恋しい 腕まくら
港夜寒(よさむ)の ひとり酒

越えて瀬戸内 その先までも
海は流れる 燧灘
噂拾って 岬の町で
迎え化粧の 春を待つ
港いつごろ 帰り船
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