戸隠の雨

白雪(しらゆき)のこる 戸隠山に
どこから来たのと 尋ねられ
一日がかりと 答えたわたし
死にたいような 切なさを
かくす笑顔に 降りしきる
雨… 戸隠の雨は
恋の痛みを 癒す雨

ひとりでわたし 生きられますと
誰かにゆずった 好きなひと
涙で買ったわ 片道きっぷ
はじめて遠い 旅に来て
お酒温(ぬく)めて のんでみる
雨… 戸隠の雨を
宿のガラスに 聞きながら

春まだ浅く 吹く風さむく
それでも信濃の 空をみる
小さな芽をふく カラ松林
大糸線で 回り鉄道(みち)
あんな男は 捨てました
雨… 戸隠の雨は
晴れる明日(あした)を はこぶ雨
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