伊那の勘太郎

山は御岳 川なら天竜
道は木曽路の 村はずれ
恋を譲って 草鞋をはいて
あてもないのに 急ぎ足
伊那を背にする
伊那を背にする…勘太郎

ハァー 天竜下れば 飛沫がかかる…

慣れた板場を 賭場へと変えりゃ
握る包丁 長脇差へ
里の灯りが ちらほら点もりゃ
しのぶ蔦屋の 宿灯り
伊那は今頃
伊那は今頃…秋祭り

「今日は今日…明日は明日の風まかせ
どうせなるようにしかならねぇ
…旅人でござんす…」

江戸の暮らしにゃ 慣れては来たが
夢に出て来る おしんさん
恋は咲かずに 終わったけれど
咲いているだろ 蕎麦の花
伊那が恋しい
伊那が恋しい…勘太郎
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