赤い椿と三度笠

花がひと片 夜風に落ちた
抱いておくれと 笠の上
こんなやくざにゃ お寄りなさんな
洗い流せぬ 身の錆に
俺も泣きたい 旅ぐらし

赤い椿の 身の上話し
聞けば俺らも ついほろり
縞の合羽に 抱いてた夢は
脇差も要らなきゃ 名も要らぬ
せめて堅気に 戻りたや

無理に通れば 白刃の雨が
俺の行手に 降りかかる
ままよ地獄の 峠を越えて
花の手を引く 旅発(だ)ちに
被り直した 三度笠
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