エメラルドの爪先

ああ 熱かったあの季節をあなたは 止めるのもきかず手放してしまった
ああ 汗ばむ熟れた肌にたわむれて キミのすべてを殺してしまった

ああ 夕暮れの浜辺のその向こう側に 見える小さな船の数々
ああ 荒波の絶頂にほとばしる涙 キミのすべてを殺してしまった

エメラルドに輝く爪先 砂の中にうもれていく
「ああっ」と君がもらした微かな嗚咽に 愛さえも 愛さえも 死なせてしまった

ああ 星をつかって路上(みち)を歩いた 夏服でひどく肌寒かった
ああ こころが燃えつきこわれそうだった キミのすべてを殺してまでも

ああ 落ち葉が残り火のように舞い上がる 俺を信じた季節の移ろいに
ああ 熱いはずのくちびるが凍えてた キミのすべてを殺してしまった

エメラルドに輝く爪先 砂の中にうもれていく
「ああっ」と君がもらした微かな嗚咽に 愛さえも 愛さえも 死なせてしまった

ああ うちひしがれてる黄砂のなかで それでもみんな暮らしを生きていく
ヒューっと風にくだけた心のかけら ただ俺は泣いていた

エメラルドに輝く爪先 砂の中にうもれていく
「ああっ」と君がもらした微かな嗚咽に 愛さえも 愛さえも 死なせてしまった
×