白い月

紅い空は すぐ墨色に染まり
そして気の早い 月を際立たす

遠くで ぽつりぽつりと
あたたかな灯りともる頃

幾重にも重なっては にじむ白い月
帰らない 帰れない場所がある
忍び込むせつなさに 負けてしまいそうな
空の窓 あなた恋しい

冷たい空気は 銀の棘の粒
深く吸い込めば 溶けて染み渡る

ひとりの部屋は広くて
夢を見て でも泣いてしまう

雲ひとつない空に ゆれる白い月
眠らない 眠れぬ夢が浮かぶ
さびしくて泣いているわけではないのに
止まらない 涙止めない

幾重にも重なっては にじむ白い月
帰らない 帰れない場所がある

夢は空 ながれ星 あなたに逢いたい
一つだけ星に願った
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