おけい

いくさに傷つき 敗れても
魂までは 穢(よご)さない
海峡こえて 米国(アメリカ)で
築く会津の 理想郷(ユートピア)
夢の種子まく 開拓団
おけいも小さな開拓民
ねんね 子守りの開拓民

描いた思いと ほど遠い
荒地が鍬を はね返す
その日の糧も しのげずに
山を去る者 抜ける者
人の心も 散りじりに
おけいは泣かない開拓民
ねんね 子守りの開拓民

おけいよ見えるか 鶴ヶ城
ゴールド・ヒルの 墓石から
祖国の声が 聞こえるか
せめて紅差せ あかね空
乙女ごころに くちびるに
おけいは行年(ぎょうねん)十九才
ねんね 子守りの開拓民

ねんね 子守りの開拓民
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