一枚の絵

一枚の描きかけの絵のなかに
あなたとぼくがいる
遠くに佇む あなたがいて
手前に まだ下描きのぼくがいる
あなたの絵具箱のなかの
ぼくは どの色でしょう
教えてあげよう 燃えるように
真紅な その色が ぼくの色です
あなたの心へ向って
ぼくは歩いてゆく
だから まっすぐに道を描いて
ぼくの足元から

この世に ぼくは生まれてきた
だれにたのんだわけじゃない
どうして花は咲くのだろう
どうして時は戻らないの
何も信じられるはずはない
ぼくが 生まれるまえのことは
青い空が高すぎて 恐くなっても
もう ぼくは今日から一人じゃない
あなたの心へ向って
ぼくは歩いてゆく
だから まっすぐに道を描いて
ぼくのつま先から
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