おしんの子守唄

冷たい川を 上(のぼ)ってゆけば
近くて遠い ふるさとよ
大根めしを 食べてゝも
囲炉裏(いろり)の明かりが 暖(あった)かい
山の家 山の家 帰りたい

春が来なけりゃ 年季があけぬ
おしん 哀しや 小さな肩に
おぼこが重い
「かあちゃーん! ばんちゃーん!」

吹雪(ふぶき)の雪山(やま)を 登ってゆけば
兄(あん)ちゃん恋しい 泣けてくる
人を憎むな 死なすなと
やさしく強く 云ったのに
白雪が 白雪が 血にそまる
「兄ちゃーん ぢんちゃーん!」

弁当持たず 読み書き習い
近くて遠い ふるさとに
月の明かりで 便り書く
みんなが通う 学校に
子守っ子 子守っ子 なぜゆけぬ

春が来なけりゃ 年季があけぬ
おしん 辛抱(しんぼう) 小さな肩に
おぼこが重い
「せんせーい! とうちゃーん!」
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