浪曲一代

那智の黒石 心を込めて
磨けば深みも 艶も出る
天晴一代 浮世の坂を
兄と弟 力を合わせ
芸の真髄(まこと)を 掴むまで
見てはならない 故郷(くに)の空

地所(ところ)変われば水変わる
身体こわすな風邪ひくな
そっと背を押し肩たたき
渡してくれた包みの中にゃ
母の握った 塩むすび…

上っ面では 判ったつもり
つもりじゃ通らぬ 芸の道
天晴一代 二つの命
風と語らい 寒さをしのぎ
節を彩る 琴の音に
逢えたあの夜は 男泣き

母の言葉が 今更沁みる
苦労はいつかは 根を下ろす
天晴一代 絆はひとつ
兄が合の手 弟が語る
義理と人情の 合わせ技
夢の花道 晴舞台
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