北慕情

窓を打つ 雨の音さえも
すゝり泣いてる 山峡(やまあい)の町
恋しいよ 逢いたいよ
遠く わかれても
忘れられない あなたを
この胸がくちびるが 恋しがる

夢さりて 路地の灯もきえて
夜の寒さに 人影もない
淋しいよ 逢いたいよ
夜ごと 腕の中
やさしかった あなたの
かえらない恋歌に 泣けてくる

悲しみに 川は流れゆく
人の運命(さだめ)を 木の葉に浮べ
恋しいよ 逢いたいよ
夢よ もういちど
谷の緑も 清(さや)かに
風が吹くふたたびの 春を待つ
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