紙の舟

激しい河の流れに
浮かべた紙の舟
どんな海鳴りが
聴こえてる

地図も持たずに
まだ使える舵もない
いつ沈むかも
わからないのに
別の夢は見ない

ゆら ゆら ゆら ゆらりと
眠ることのできる岸辺もないまま
ゆら ゆら ゆら ゆら ゆらりと
誰のために帆をはるのでしょう
なんのために帆をはるのでしょう

水面の月のまたたき
鏡に見立てれば
二度と逢えない
ひとが映る

帰れる場所も
たどり着く場所も知らず
優しい花を
積むことはない
すぐに空は変わる

ゆら ゆら ゆら ゆらりと
許すことのできる 昨日もないまま
ゆら ゆら ゆら ゆら ゆらりと
誰のために風呼ぶのでしょう
なんのために風呼ぶのでしょう

なぜ絶えず日は昇り
ただ影を生みながら心を巡る
ゆら ゆら ゆら ゆら ゆらりと
誰のために帆をはるのでしょう
なんのために帆をはるのでしょう
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