博士と孔雀

軒先の小屋に住まうピーコックは博士が好き
嗜みを整えては 夢見がちにchirping song

あの人にアクセスするパスワードが分からないの
古ぼけた機械の前 首傾げた

真っ赤なビーカー
放置されてる液体とマドラー
曇った湯気に揺れてる
沸騰点の恋心

どうか見捨てないでよ
もっと近くに伸ばしてよ
「愛するヒト」にはなれないけど
君にずっと触れていたいよ
その口にキスしたいよ
尖る嘴 地面突き ダダを捏ねてる

軒先の小屋に住まうピーコックは博士が好き
虹色の羽を広げ 今日もハミング

黄色くなった白衣
微かに白髪混じりの髪
時折吐く溜息は
どんな人に届けたいの?

その眉間の皺に
微風を運びたいよ
「愛するヒト」にはなれないから
君の名を呼んでみたいよ
最後まで見ていたいよ
虹の翼は 待ちくたびれ まだらに透ける

ひとりの夜を 雨の午後を
そっと暖める暖炉のように
静かに立って 見守るから
閉じた扉を開けて欲しい

どうか見捨てないでよ
もっと近くに伸ばしてよ
「愛するヒト」にはなれないけど
君にずっと触れていたいよ
その口にキスしたいよ
尖る嘴 地面突き ダダを捏ねてる
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