紀の川慕情

人目忍んで 紀の川の
水の流れに すすり泣く
たとえ添えない 運命(さだめ)でも
甘えたいのよ あなたの胸で
いくら好きでも 焦がれても
情け通わす 舟がない

夢を浮かべた 紀の川の
瀬音悲しく 身にしみる
別れましょうと 言いながら
逢えばいつでも あなたが欲しい
添うて淋しい 仮の妻
流す人形 見え隠れ

逢瀬かさねた 紀の川の
旅の終わりが 加太(かだ)の海
忘れきれない 辛いのよ
倫にはずれた この恋だけど
いいの悔いなど ありません
女ごころの いく曲がり
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