冬ですか

もう冬ですか 北風ですか
去年と同じ黒のコートで
地下鉄を出る 歩道橋を渡る
いつものように僕はゆく

前髪を気にしながら ふたつ目の角 曲がるとき
なぜだか急に泣きたくなっても

分厚い雲の向こう側にある
今は見えない光の その気配に
手を伸ばし叫びそうになる
僕を笑っていいよ

もう冬ですか 寂しいですか
そうでもないと笑っていますか
こんな気持ちは場違いですか
あなたも会いたくなりますか

たくさん風が吹いたから 今年はあたたかい冬になるよって
誰か言ってたような

唇になにかが触れた記憶
重く優しい眠りに誘われて
あいしてると言ったその声も
僕は忘れるだろう

分厚い雲の向こう側にある
今は見えない光の その気配に
手を伸ばし叫びそうになる
僕を笑っていいよ
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