静夜曲

一緒に登ったこの坂を
今夜は独りで登ります

初めて覚えたあの唄を
何度も何度も 口遊(くちずさ)み

遠く遠く揺れている
遥か彼方 光ってる

嗚呼 やわらかな漁火(いさりび)のように
胸に灯る母の声

名前を呼ばれて振り返る
悪戯(いたずら)が過ぎて叱られた

涙が乾いたその後で
大きな大きなかたぐるま

深く深く残ってる
高い空を覚えてる

嗚呼 静かなる十六夜(いざよい)の月に
凛と映る父の顔

嗚呼 やわらかな漁火(いさりび)のように
胸に灯る母の声
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