ふたりがつくった風景

赤と緑の歯ブラシが いつも仲良く コップの中
並んでいたね

君が愛した 壁にかかるマチスを
はずせば 浮かぶよ 四角い白い跡
そこにはふたりの日々が まだある
ふたりだけの空気が まだ流れてる
雨風が強くて 傘のほねが折れたね
ずぶ濡れでも楽しかった あの夜

ひとりベッドに ぼくを残して
いつも出掛けたね 君は早い朝
ふたりを起こした 眼覚まし時計
今でも この部屋の時を刻むよ
雪がたくさん積もった 街がいつもとちがった
のら猫を君が拾ってきた あの夜

赤と緑の歯ブラシが いつも仲良く コップの中
並んでいたね

ぼくが愛した万年筆は
黒い大きなスポイト式で
時代遅れだって 笑いながら
ぼくの誕生日に 君のプレゼント
風が雲を飛ばして 星がたくさん光った
そしてふたりは別れたね あの夜

赤と緑の歯ブラシが
いつも仲良く コップの中
並んでいたね