きこえる

この街のどこか遠くで 君の声が聞こえる
風に流されてしまいそうなほど かすかな奇跡だった
姿は見えないけれど 君の頬にふれて
流れる涙をすくいあげよう きっと今 ここにいるんだろう

昨日ポストに入れた手紙の宛先はない
だからどこかの国の切手を貼っておいたけど
返事が届いたのは花屋の角で気が付いた
今日の言葉で君が咲いていたから

残されていたわずかな時間を 僕らはちっとも知りえずに
勝手気ままに生きてた 陽が暮れるのを待っているような日々を

この街のどこか遠くで 君の声が聞こえる
行き交う人波をかき分けながら 雲の流れる方へ
姿は見えないけれど 君の肩にふれて
言えなかったことを打ち明けよう なにもかも 知っていたんだろう

慌てて乗ったバスに行き先の名前はない
だからいつもの本を最後まで読み切ったけど
窓の外の景色はあの日のまま止まってるんだ
バスが夜空を飛び始めたとしても

限られていた最後の言葉で ちぎれ雲を集めるように
君が僕らに教えた 夜が明けるための道を急ぐよ

君の好きだった歌が ふいに街で聞こえる
急いでる誰かを引き止めながら 音の流れる方へ
姿は見えないけれど 君の肩に触れて
聞けなかったことを打ち明けよう 僕にそっと話してよ

どんなに離れていても 君の声が聞こえる
風に流されてしまいそうなほど 微かな奇跡なんだ
姿は見えないけれど 君の頬にふれて
流れる涙をすくいあげよう 今もきっと ここにいるんだろう
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