七夕月(萩の花咲く頃)

あれはまだ にきび盛りの 時代のことだよ
七夕の 笹の小枝に
ふたりで結んだ 青い短冊
早く廿才に なりたいね
そして逢おうよ 東京で
目と目で交わした 愛詞[あいことば]
忘れないよ 忘れないよ あれは初恋忘れない
忘れないよ 忘れないよ あれはふるさとに
萩の花咲く頃

君もまだ お下げ髪だね 紅もつけずに
白壁の 土蔵背にして
お手玉とってた 紙の風船
赤いリボンが 揺れるのを
俺はため息 つきながら
夕日と見ていた 橋の上
忘れないよ 忘れないよ あれは初恋忘れない
忘れないよ 忘れないよ あれはふるさとに
萩の花咲く頃

逢えぬまま 時は流れて かすむ面影
七夕の 夜がくるたび
結んで祈るよ 笹の葉に
俺も負けずに 生きるから
君も元気で がんばれよ
あの日は戻って こないけど
忘れないよ 忘れないよ あれは初恋忘れない
忘れないよ 忘れないよ あれはふるさとに
萩の花咲く頃
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