十四の月

十五夜を明日に 鈴虫生き急ぐ萩のこみち
青白い君の頬に光るもの
つたい落ちるもの

僕は十四日目の月が好きだよ
あした満ちる希望がまだあるから
最後にきつく抱き合う無人駅

満ちて 欠けて 何度繰り返しても
いつも今日の月でいよう
君と 僕が 何度すれちがっても
いつか今日の月で逢おう

さんざめく夏は 夢か幻か 薄の風
結ばれる事も命絶つことも
許されないなら

二人 十四日目の月に祈ろう
そして欠ける事のない思い出抱いて
夜汽車が君を遠くへ運んでも

どうか どうか 幸せでいて欲しい
誰と今日の月を見ても

満ちて 欠けて 何度繰り返しても
いつも今日の月でいよう

いつか今日の月で逢おう
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