オホーツクの海

「一晩中、泣き続けた
車の中ひとりぼっちで
急にあなたが私のそばからどこか
遠い所へ行ってしまいそう

あなたの声聞きたくて
淋しさにこれ以上耐えきれない
あの時私の心、あなたに置いてきた
だけどやっぱりあなたの生き方に追いつけない」

からっ風が吹いている
荒れ狂う真冬の海
俺は今、遙か北、オホーツクの海に在る
容赦無くうねり砕け散る流氷が
ゴーゴーと吠え噛みつきながら生きていた

オホーツクの海に
沈む夕陽を真っすぐ、真っすぐ俺は見つめた
こらえきれず、泣き叫んだら
勇気が宿った
やっと俺の胸に静かな
勇気が宿った

「私の部屋にあなたがいない
あなたがもたれるソファーにあなたがいない」
君の笑みに素直に俺が答えなかったのは
君の言う孤独になす術がなかったからだ

『飛んで行きたい 愛しい人のそば
誰もが願う繊細な風に吹かれたい』
人生の途中で迷い、ふさぎ、自信が失せたあの日
たやすく孤独を口にした自分が恥ずかしかった

からっ風が怒っている
荒れ狂う真冬の海
君と泣き、悩み、苦しむことが優しさだと
ここへたどり着くまで俺は信じてた
だけど海は黙ったまんま厳しさを語ってた

オホーツクの海を
背にして俺はゆっくりゆっくり走った
氷の雨、頬突き刺せば
覚悟が宿った
全て断ち切る覚悟が
静かに宿った

全て断ち切る覚悟が
静かに宿った
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