旅笠道中

春は世に出る 草木もあるに
阿呆鴉の 泣き別れ
連れに逸(はぐ)れた 一本刀(がたな)
旅はいつまで つづくやら

人のいのちと 空ゆく雲は
どこで散るやら 果てるやら
まして俺らは お天陽様(てんとさま)を
晴れて拝めぬ 罰(ばち)あたり

泣いて別れて 旅人さんの
足は重かろ さびしかろ
伊那の伊那ぶし 聞きたい時は
捨ててお出でよ 三度笠
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