かじき釣り

よく晴れた空 潮のかおり
わたし道具そろえ 電車にとびのる
湾曲した埠頭 かがやくマスト
まるめた投網に あがって見渡す

桟橋で会った ひげの船長
ピューと口笛 乗れよと笑った
俺こそ海の王者 さかなどものあるじ
どんな化け物も この話は逃がさねえ

釣れるかな 釣れるかな
こわくて たのしい かじき釣リ

真白ぎ船体 その名もにゅうどう雲
大波の山 50ノットで飛びこえ
おやいけねえ とひげの船長
弁当を忘れてきた 港へは取リにもどれない

大海原に はためくボーダー
おひとついかがです? 特製サンドイッチ
ツナサンドをパクリ 海の王者は
こんなうまいもの この世にあったとは

釣れるかな 釣れるかな
こわくて たのしい かじき釣り

三時間四時間 竿をにぎって
日焼けどめは 汗とながれる
遠めがねかまえた ひげの王者は
面舵いっぱい 真剣な顔

日暮れの前に 竿がしなった
リールの悲鳴 ふんばるデッキシューズ
分厚いてのひら あたしを支えて
真っ赤な海に 跳ねるはソードフィッシュ

(間奏~かじきとのファイトをさまざまな音であらわす)

そんなこんなで 港へかえリ
三日後船長と 結婚式をあげた
釣ったのかな 釣られたのかな
いまも わたしには わからない

船長のひげ じつはつけひげ
王者のくせに ほんとはカナヅチ
あたしがもし 海原でおぼれたら
あの人も一度 とびこんでくれるかな

釣れるかな 釣れるかな
こわくて たのしい かじき釣リ

カナヅチの漁師は けっこう多い
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