白昼の行方不明者

纏わりついて来る蝿のように
何処までも寄り添って来る
安っぽい絶望が
安っぽい涙が

薄暗い何かが
また一人、誰かを
何処かへ連れて行く
サヨナラが今、
小さな声が
坂道を転げて行く

正直に生きれば生きる程
向かい風ばかりが強くなる
「踏み越えて楽になれ」と
オーロラビジョンが喚き散らしている

薄暗い何かが
また一人、誰かを
何処かへ連れて行く
行かないでくれ、
小さな声で
背中に投げかける
真昼の街で

息を殺して、耐えて、生きて、
繰り返すだけ
声を上げて、笑って、泣いて、
いたいだけ、さ

薄暗い何かが
また一人、誰かを
何処かへ連れて行く
サヨナラが今、
小さな声が
坂道を転げて行く
真昼の街で
×