砂塵の彼方へ

砂の様に 霧雨の様に
真昼は降り注ぐ
拒絶の矢は雲間を射抜いて
空を射落とす
「目蓋に菜の花、思い出哀しい」か、
馬鹿げた感傷だぜ
目を上げる

それを識ろうが識らざろうが
目の前に広がる世界は砂塵の中

流れて消えて行くちぎれ雲
秋風身に滲むビル影の中
鼻唄をぶら下げて立っている

「ソレハアマイノ?
ソレハニガイノ?
アタタカイノ?
ツメタイノ?」
恥じるな声
躊躇うな声よ
太陽の真下へ!

そぞろに歩めば何時の日か
懶惰の闇さえ慈しむ様に
口元に薄笑み浮かべている

何時でも心に鳴り響く
俄かに眠りも打ち覚ます
あれは声無き声
歌無き歌

それを識ろうが識らざろうが
目の前に広がる世界は砂塵の中

流れて消えて行くちぎれ雲
秋風身に滲むビル影の中
鼻唄をぶら下げて立っている
(言葉は持たずとも)
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