惜春

林檎の樹の下 泣いてた君は
とける雪より きよらな瞳
ふるさとよ ふるさとよ
忘れられない 思い出がある
呼べばせつない 人がいる

螢を追いかけ せせらぐ道を
君は浴衣の 紅い帯
ふるさとよ ふるさとよ
時は変われど 幼い日々を
水の流れが うつすだろう

むすんだ黒髪 ほどけば白い
君の襟足 ほのかに匂う
ふるさとよ ふるさとよ
祭りばやしが とだえた今も
胸にやさしい 面影よ

木枯らし吹く夜の 窓辺には
星がまたたく つららがさがる
ふるさとよ ふるさとよ
めぐり逢う日は ない君だけど
君のしあわせ 祈ってる
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