なごり雨

雨のしずくは 切れるけど
払い切れない 涙つぶ
焦(こ)がれても 焦がれても
いつも悲しい 役まわり
傘も持たずに 立ち尽くす
あなた愛しい なごり雨

寒さしのぎの お酒より
今も恋しい 腕枕
逢いたさに 逢いたさに
指の先まで やせていく
せめてこの胸 温めて
あなたも一度 なごり雨

季節はずれに 風鈴の
音が心に 沁(し)みてくる
忍んでも 忍んでも
何故(なぜ)に届かぬ この思い
うしろ姿の しあわせが
今日も泣かせる なごり雨
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