土佐っぽ情歌

火照る乳房をさらしに巻いて
涙 合羽で かいなぐる命かさねた 土佐っぽは
沖のうねりに消えてゆく
「うらァあんたの女じゃきに」
「骨の髄まで惚れちょるきに」
怒涛がしぶく舳先が叫ぶ
出漁船 出漁船とョ風がさわぐ

髪を掴んでふりまわされた
不漁つづきの 荒れた夜
泣いて二の腕 古傷を
指で玩具にして眠る
「うらァ信じて待っちょるきに」
「 枕 噛みしめこらえるきに」
声が枯れる 女がむせる
死ぬな 死ぬなとョ 情がうずく

「うらァあんたの女じゃきに」
「骨の髄まで惚れちょるきに」
怒涛がしぶく舳先が叫ぶ
大漁 大漁とョ海が吠える
×