八月の匂い

鄙びた停車場に立ち 影の中に身を置き
ラムネ飲みほすおまえを見てる
「空しいね」おまえの「淋しいね」うなじに
「哀しいね」ひとすじ「空しいね」流れる
「淋しいね」冷や汗
蒼いラムネの空壜 陽に灼けた肌にあて
ああ冷いとあまえは笑う

白茶けた陽射し浴びて揺れるおまえの胸が
50マイルも遠くに見える
「空しいね」左の「淋しいね」小指が
「哀しいね」痛むよ「空しいね」おまえの
「淋しいね」歯の跡
手垢のついた客車に身をゆだねて座れば
ぶつかる膝の交流電気
「空しいね」飛び去る「淋しいね」景色に
「哀しいね」吹かれて
「空しいね」ふたりの「淋しいね」笑顔が
「哀しいね」崩れる
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