むらさき日記

ときめく夢の 日捲(めく)りは
春がこぼれて 秋になる
十二単(ひとえ)の 片袖しぼり
恋に身を灼(や)き 澪標(みおつくし)
女の性(さが)の 切なさは
… 涙でひらく 紫の花

紅(べに)ひく指の 先までも
想いあふれて 待つ夜毎(よごと)
月のしずくに 面影つなぎ
恋に身を灼(や)き 澪標(みおつくし)
まぎらす筈(はず)の 琴の音(ね)が
… 寂しささそう 末摘(すえつむ)の花

薄(すすき)の波に ふりそそぐ
いつか茜(あかね)が 紫に
霧の朝(あした)に 風立つ夕(ゆう)べ
恋に身を灼(や)き 澪標(みおつくし)
叶わぬならば 玉鬘(たまかずら)
… 心で咲かす 夕顔の花
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