劇場の前

うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月

「あの月を御覧なさい」と
二人はただうつむいて涙ぐむ

帯の模様も
苅萱の はかなき草の浅黄染

軒の灯も初秋の
恋ゆえ かなし 薄あかり

「若くいましょう」と
二人は またうつむいて涙ぐむ

恋は「廓の明烏」
「泣かされました」と
云って泣く

帯の模様も
苅萱の はかなき草の浅黄染

軒の灯も初秋の
恋ゆえ かなし 薄あかり

うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月

うちだしの 太鼓が響く
初秋の 街の甍に 赤い月
×