お吉恋物語

過ぎてしまえば 昨日は昔
変わるさだめの 浮き沈み
みんな夢だね お月さん
罪もないのに 世間の人が
差すは冷たい うしろ指

好きな人とは 添い遂げられず
無理に抱かれた 夜もある
みんな夢だね 磯千鳥
渡り歩いて 始めて知った
どうせ この世は 薄情け

まゝにならない 憂き世に生きて
お吉三味線 撥が泣く
みんな夢だね 伊豆の風
下田港の 路地裏のれん
愚痴に つまずく 怨み酒
×