鳥になった少年の唄

ガラスの向こうを 見詰めて囀る
白い羽根濡らし 飛ぶことを忘れて
レースのカーテンを弾く 君は何も気づかないまま
むらさきの空に 小枝は揺れるよ

ガラスの向こうを 夢みて羽搏く
消えない想いをくちばしに衝えて
小さな写真のかけら 赤い木の実 なくしたボタン
窓辺に運ぶよ こもれ日の中を

鳥よ あの青い空へ はやく飛んでゆけ すべて終ったはずだよ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた

ガラスはひび割れ 羽根が風に舞う
そっと窓を開け ベールを差し延べる
暖かい君の指が 傷ついた翼を包む
零れる涙は もう遅すぎたよ

僕は寂しい空へ 帰りたくはない ここで眠らせておくれ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた

鳥よ あの青い空へ はやく飛んでゆけ すべて終ったはずだよ
鳥になった少年は君のことだけを覚えていた
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