恋 はるか

初めて君と 旅をした
列車の窓から 来る風は
海が近いと 教えてた…
向かい合わせに 座った君の
かたく合わせた ひざがしら
桜の花びら ふわっと舞った
はるか はるかの 春のこと

ふたりで暮らし 始めてた
レースをすり抜け 夕焼けが
君の背中を 照らしてた…
カレーライスの 香りのなかで
白いお皿に いくつもの
小さな幸せ 並べて待っていた
はるか はるかの 夏のこと

涙が胸に こぼれた
浜辺でピアスをさがすように
僕の心が 見えないと…
君と別れた 踏み切りの隅
高くひくく コロコロと
忘れこおろぎ 夜通し鳴いた
はるか はるかの 秋のこと

いくつも季節 通り過ぎ
お元気ですかと なつかしい
文字で届いた 年賀状…
君は許して くれたのだろうか
時の流れは 凍えた胸に
そっと陽だまり くれたのか
はるか はるかの 冬のこと

はるか はるかの 恋のこと
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