鯱って奴は 自分より
でっかい獲物に 喰らいつく
そんな男に なれやと親爺
肩の寒さに 夢かと醒めりゃ
汽車は三陸 霧の朝
ネオンに咲いた 月見草
哀しい女を また泣かせ
北の海へと 流れる俺さ

竜飛岬(たっぴみさき) さびれ宿
厄介かけるぜ 二、三日
時化る港で 酒飲む男
歌もなければ 言葉もないが
やけに拳が 熱くなる
捨てたらいやと しがみつく
愛しい女に けりつけて
潮の匂いに さすらう俺さ

鯱って奴に なれるよな
度胸があるかと 風が聞く
馬鹿な男に なるだけなるさ
船をのみ込む シベリヤおろし
染みた背中が 疼きだす
都会で暮らす 俺ならば
お前に溺れて 暮らすだろ
北の海へと 流れる俺さ
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