真赤な鞄

好きならば逃げてよと押しまくられて
ひきづられついて来た仮の宿
赤茶けた壁紙にすすけたカーテン
ただ一つ美しい街の灯り
あなたが好きで来たのじゃないけど
捨てては置けない気持になったの
だまってないで何とかいってよ
今日から二人くらすのじゃないの
部屋の隅には真赤な鞄
これがすべての真赤な真赤な鞄

ガリガリと音たててリンゴをかじる
横顔がおさなくていとおしい
あおむけに寝ころんで天井見つめ
あふれ出る涙ふきしがみつく
あなたが好きになるかもしれない
女は時々愚かになるから
だまってないで何とかいってよ
今日から二人くらすのじゃないの
部屋の隅には真赤な鞄
これがすべての真赤な真赤な鞄
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