神様ひとつだけ

眠りの訪れぬ―逆さまの夜
少女はただ酷く
退屈してた

薔薇がつたう石造の塔は
冷える、底無しに
とても永く保たないのは
目に見えた

貴方をさらって
この手で壊したい。
私を、此処から
連れ出してくれないなら

(眩しい奇跡を
信じながら
生きてゆくのは
悪いことじゃないわ…)

少女がドレープを
たくしあげれば
男は平伏して良い子になった

舌を這わせ むさぼるほど
甘い棘は染み込んで
我に還るその背中を、
アイシテた…

貴方の言葉を
炎に包むとき
私は小さな
雫をこぼしてしまう

(眩しい奇跡を
信じながら
生きてゆくのは
悪いことじゃないわ…)

お願い…答えて、
神様ひとつだけ。
私を此処から
連れ出してくれないなら

「眩しい奇跡を
信じながら
生きてゆくのは
悪いことじゃない。」と
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