おもいで岬

春はたき火の燃えのこり
消えた流氷 とぶ鴎
酒を片手の 親父らが
顔をゆるめる 口ずさむ
北の岬は今もなお
忘れられない忘れられない おもいで岬

夏は真赤なハマナスが
夜に人待つ 虫も鳴く
人目しのんで 若い衆が
肌を寄せ合う 月の下
北の岬は今もなお
忘れられない忘れられない おもいで岬

秋ははやばや色づいて
風の音する すすり泣く
酒が恋しい 人恋し
手紙ばかりを書く夜ふけ
北の岬は今もなお
忘れられない忘れられない おもいで岬

冬はたずねる人もなく
白い灯台 ただ一つ
耐えてしのんで 船のりが
行方たずねる 目をはらす
北の岬は今もなお
忘れられない忘れられない おもいで岬
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