みこと

ぼうや、いいかい、よく聞きなさい。
とても大事なことだからね。
お前はこれから世の中に出て
たくさんの事を知るだろう。

ぼうや、いいかい、人間はね
とても弱い生き物だから
時にはお前を傷つけたり
だましたりすることもあるのさ。

けど、

それでもね
人の弱さを省り見れば
その全て、それは、自分の弱さでもある。
仕返すことはぜずに、受け止めなさい。

ぼうや、いいかい、よくききなさい。
お前もいつかは知ることだよ。
お前はとても優しい子だから
困っている人を助けるだろう。

ぼうや、いいかい、そこにはね
どうにもならぬこともあるよ。
だけれど、運命を見守る強さが
いつか 必ず誰かを救う。

ここではね
いつも、命が咲き乱れてて
同じだけ、いつも
命が枯れてゆくのさ。

それは哀しいことじゃない、
掟なのさ。

氷は溶けて 緑は消えて
生きるべきもの死んでゆく様。
地上の空が濁り続けても
変わらずこの地を歩き続けて。

いつの日か
私が、死んで星になるころ、
この言葉の意味、解る日が来るだろう。
吹き荒れる風が
お前に吹きつけても
強く生きろ、私のぼうや。

生きていくんだよ
その心で。
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