十三夜の月

立ち止まり眺める街にはもう
ときめきのかけらも失くした
信じた地図にもふりまわされ
目がかすむ

清廉な光と信じていたのは
偽(にせ)の花びらと気づいた
重すぎた鎧に囚(とら)われずに
歩きたい

駆け寄る君を抱え上げて
同じ目の高さに見て 抱き締めたら
新しい笑顔をこしらえて
始めるよ 幻でも
満ち足りない力だけど
十三夜の月ように

声を枯らしていた頃見えない
片隅の椅子にたたずみ
つじつま合わせた日々と別れ
微笑んだ

駆け寄る君を抱え上げて
同じ目の高さに見て 抱き締めたら
巻きつく腕に顔を埋めて
泣き出すよ すべて捨てて
まだ欠けた心だけど
十三夜の月ように

胸を突く過去、現在(いま)と未来を貫く
変わらない時間(とき)の軸に逆った愚かさ
君の柔らかさに包まれ
途切れた息が 吹き返す again

駆け寄る君を抱え上げて
同じ目の高さに見て 抱き締めたら
新しい笑顔をこしらえて
始めるよ 幻でも

駆け寄る君を抱え上げて
同じ目の高さに見て 頬寄せるたら
巻きつく腕に顔を埋めて
泣き出すよ すべて捨てて
いつか満ちると信じるさ
あの十三夜の月ように
×