三幕芝居

ひと幕芝居の はじめはいつも
たそがれ時間に 幕があく
男は冷めた 気のない返事
女はついて行くと言う
小雨の舖道に 女を残し
男はくるりと背中を向けた

ふた幕芝居の 途中はいつも
おもいでばかりが 後をひく
断ち切ることが 出来たとしても
女は急に 変われない
いさかいばかりが 続いた暮らし
しあわせだったと 女は思う

さん幕芝居の 終わりはいつも
涙のしずくで 閉じられる
出逢いと別れ いつでも同じ
命をけずる ことばかり
男のぬけがら 散らばる部屋で
スポットライトが 女を照らす
×