冬物語

君影草って呼び名があると
教えてくれたスズランの
ブーケを胸に嫁ぐ日を
夢見てた君を覚えてる

僕は若くて薄情で
君の愛すら質に入れ
知らん顔して酒を浴び
見知らぬ女に愛された

君を幸せに出来ないことが
解っていたから壊れてた
それでも互いの温もりだけは
信じていた 冬物語

惨めな僕を嘲笑いもせずに
見下ろしていた時計台
今でも胸に痛いほど
あの鐘の音を忘れない

都会へゆくと心に決めて
吹雪の駅で別れたね
ホームで凍る君を残して
僕は心まで捨ててきた

時は遙かに過ぎ去り今は
幾星霜のライラック
青春なんて言い訳は
綺麗事だと解ってる

やがて君が嫁いだことを
誰かの手紙で知ったとき
独りっきり声をあげて泣いた
宝物だった 冬物語

君影草って呼び名があると
教えてくれたスズランの
ブーケを胸に嫁ぐ日を
夢見てた君を覚えてる
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