お祭りの夜

泣かない約束を
したばかりなのにもう涙
ひとりでお祭りの人ごみを逃れて
紅い鼻緒がなぜかうらめしくて
あの人あの町に行っちゃうなんて
今日はじめてきかされたの
遠い笛太鼓

恋人同志なんて
まだいえない二人だけれど
いつしか心に決めていた人だった
線香花火がなぜか目に浮かぶの
あの人あの町で働くなんて
祭りの歌が手拍子が
胸につきささる

泣かない約束を
したばかりなのにもう涙
やさしい母さんにもみられたくないから
家の垣根のそばを通りすぎて
あの人この町を出てゆくなんて
まだ信じられないわたし
村の鎮守さま
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