幻曲

ふと 街を見下ろせるあの場所 行こうと思った
まだ微かに星が見える薄暗い時 朝靄の中 歩き出した
葉のない並木道 無彩色のこの景色
音のない世界 空しく響く呼吸

まだ芽のない小枝に あの日消えた君を今重ねた

色 音 光 ない 世界に一人だけ
君のあの言葉 何を意味したんだろう

悴んだ手を暖めようと 息を吹きかけるけど
冷たいままの手 ため息では駄目だ
細い坂道を登っていく 石段登ってく
この足は重い やっと辿り着いた

目の前に自分の影が伸びて 僕は振り向いた

色 音 光って 靄の海 ビルの影
キラキラ 幻 君に届きそうだ

甘い記憶辿った 現実を知りながらも
あまりに綺麗な 幻のような朝の中で
動き出した 色 音 光って
靄の海 ビルの影 小鳥たちの鳴き声

心まで 照らして
×