夏は過ぎて

曲がりくねった細い道 揺れて過ぎたる紬の貴女(あのひと)
白い日傘に添えし指にも 忘れぬあの日のしぐさそのままに
あれから季節は幾度 生まれ死んでいったのでしょう
風に浮かんだ衿の白さも 知らぬ誰かのためにと思われて

思いもよらぬ二人の再会(であい)に 心は揺れて時さえまわらず
戸惑う貴女(ひと)の影を追いかけ足を早める 虚しさ噛みしめて
あれから季節は幾度 生まれ死んでいったのでしょう
紅く汗ばみ燃ゆる爪紅(つまべに) 女になりし貴女(あのひと)息づかせ

坂道を下る二人の影は 結んだ糸もほぐれてしまって
影踏みしめる私の足は 過去の幸せ引きずったままです
あれから季節は幾度 生まれ死んでいったのでしょう
帰れとは言えず戻れとも願えぬ 遠い遠い昨日が後ろから
帰れとは言えず戻れとも願えぬ 遠い遠い昨日が後ろから
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