屋台ばなし

夫婦屋台(めおとやたい)に 身ぐるみのせて
捨てた昔に みれんはないが
もう一度 咲かそうよ
なあ おまえ ねえ あんた
前と後ろで 声かけあって
花を夢みる 裏町ぐらし

荒れた両手を 見せ合いながら
残りご飯で すませる朝も
グチなんて 言わないさ
なあ おまえ ねえ あんた
夫婦屋台の 赤ちょうちんの
しわの数ほど 苦労がしたい

屋台なかせの 宵街しぐれ
濡れて駆けこむ 馴染みもできた
うれしいわ 縁(えにし)だね
なあ おまえ ねえ あんた
味も未熟な 小料理だけど
真心(まこと)添えれば 笑顔がかえる
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