屋台酒

にぎわう街の 片隅で
俺と良く似た 奴がいる
のれんに風が 吹くたびに
ちいさな咳(せき)して 酒を呑む
泥にまみれた くやしさは
ひとりで ひとりで耐えるもの

コップの底に 映(うつ)るのは
お前と別れた 街だろか
若さといえば それまでの
冷たい別れの それっきり
どこで どうしているのやら
今さら 今さら遅すぎる

生きてくことの はずかしさ
想い出すたび 酒を呑む
ひと文字欠けた ネオン見て
心にぽっかり 穴があく
酔えば 酔うほど淋しさが
男の肩抱く 屋台酒
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