宿六

ジャンと半鐘が 鳴りだしゃポンと
飛んで出たきり 鉄砲玉
纏持ちでも あるまいものを
しっぽつけない 野次馬さ
え~ぇ え~ぇ
なんと なんとしょ お月さん
うちの宿六 叱っておくれ

遊び疲れりゃ 私の膝で
子供みたいに 眠る人

酒に目がない 女にゃ早い
浮き世極楽 夢トンビ
妬いたそばから 冷めずに妬かす
粋で鯔背で いい男
え~ぇ え~ぇ
なんと なんとしょ 辰巳町
うちの宿六 返しておくれ

惚れた弱みの 押し掛け女房
祭り囃子に つい浮かれ
縁は異なもの 聞くだけ野暮よ
私ひとりが わかりゃいい
え~ぇ え~ぇ
なんと なんとしょ お月さん
うちの宿六 守っておくれ

顔で笑って 心でじれて
嘘の数だけ つねりたい
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